■論破4日蓮は「聖樹」「神木」である楠木を伐り倒していない4

 

□日本古来から「楠神信仰」で「楠神」「楠神さま」「クスの大神」として崇められていた楠木2

 

静岡県熱海市西山町の来宮神社には、幹周り23.9メートル、環境庁の巨木調査では全国2位の楠木の巨木がある。

ここはもともと7本の大楠木があったところが5本を伐採したので、残っているのは2本ということ。

神社の入り口から入っていくと、まずは第二大楠があります。太い楠木にはしめ縄が張られ、ミニ鳥居、ミニ社が造られていて、完全に神木扱いになっています。

この第二大楠のさらに奥にあるのが第一大楠で、こちらのほうが第二大楠よりも幹が太いし、高さも高い。枝分かれしている部分を含めても、楠の大きさとしても第二大楠よりも大きいですね。

もちろん第一大楠もしめ縄が張り巡らされ、ミニ鳥居、ミニ社が造られていて、こちらも神木になっています。

私がここに来た日も、たくさんの人が訪れていて、第一楠木の前で、合掌・礼拝している人がいました。ここ来宮神社には御神体があるのでしょうが、こういうのを見ていると、ここの実質的な御神体は、二本の大楠木であるような気がしてしまうくらいです。

さて神社境内には、大楠木に関する案内板が立っています。

 

「日本最樹齢の樟 国指定天然記念物

大 樟

文部大臣指定 昭和八年二月二十八日

樹齢 二千年以上

周囲 二十三.九米

高さ 二十六米以上

 

御由緒

古代においては、此の樟 神の御霊をお招きしてお祀りしておりました。現在は当社の御神木となっております」

来宮大楠3 

この大楠木が、この神社の御神木であると、はっきり書いてあります。

熱海市の来宮神社の境内には、以前は境内に7株の大楠があったが、嘉永年間(184853年)、大網事件という漁業権を巡る争論が起こり、訴訟費等捻出のために5株を伐採した。旧記によると、この木も伐ろうとしたところ、白髪の老翁が現れて立ち塞がり、樵夫の持つ大鋸を2つに折ってどこかへ消えたので、それ以来神木として崇めるようになったという。

もう1株も第2大楠と呼ばれて残っている。まさに「楠木神社」という感じがある。

この来宮神社の楠木は、神社の伝承によれば、和銅三年(710)に海岸に流れ着いた一株の楠木の樹根を現在の地に祀ったというのが起源ということである。

 

環境庁の巨木調査による巨木リストでは、上位11本のうちの実に10本を楠木が占めている。30位までだと19本、60%が楠木である。日本の巨樹・巨木に占める楠木の割合がいかに高いかがよくわかる事例である。とてつもない大木というのは、樹種が何であれ、見る者に畏敬の念を抱かせる。世界各地において、他を圧するような巨木は、たとえ神としてではなくとも、それに近い扱いを受けている。

このように楠木は古くから「楠神信仰」で、つまり「楠神」「楠神さま」「クスの大神」として崇められていたのである。したがって、仮に身延山に1本や2本の楠木があったとしても、「楠神信仰」で「楠神」「楠神さま」「クスの大神」として崇められている神木を日蓮が伐り倒すわけがない。

したがって、「楠神信仰」で「楠神」「楠神さま」「クスの大神」として崇められている神木である楠木を自力で伐り倒して板本尊を製作すること自体が不可能であり、楠木で板本尊を造立するには、他所から楠木を調達してこなくてはならない。しかし日蓮には、そのような経済力はなかった。