□カルト宗教被害が発覚してから13年後に被害者救済法を制定しても全く手遅れである

 

テロ支援国家とは、アメリカ合衆国政府が19791229日にリストを作成した、アメリカ合衆国に敵対してテロリズムを行なう組織に対して資金・装備品提供・潜伏場所確保等の支援・援助を行なっていると見なしている国家のこと。一般にニュースや報道機関等で使われる場合は、アメリカ合衆国国務省が毎年発表している年次報告書「Patterns of Global Terrorism」で、「State-sponsored terrorism(国家が支援するテロ)」を行っていると指定された国々のことである。指定国には、アメリカを中心に武器関連の輸出・販売禁止、経済援助禁止、世界銀行による融資の規制などの措置が取られる。

2015年時点で、アメリカ合衆国国務省はイラン、シリア、スーダンの3か国をテロ支援国家と指定している。過去にアメリカからテロ支援国家に指定されていた国は

南イエメン:1979年に指定、1990年の国家消滅(北イエメンとの統合)にともない指定解除。

イラク:1979年に指定、1982年に指定解除し国交正常化、1990年のクウェート侵攻を受け再指定、イラク戦争の影響から2004年に指定解除。

リビア:1979年に指定、2006年に指定解除し、その後国交正常化。

北朝鮮:1988年に指定、2008年に指定解除。

キューバ:198231日に指定。国交正常化交渉の加速に向けて、2015年に指定解除。

(フリー百科事典・Wikipedia「テロ支援国家」)

私がアメリカのテロ支援国家指定に着目しているのは、指定国には、アメリカを中心に武器関連の輸出・販売禁止、経済援助禁止、世界銀行による融資の規制などの措置が取られること。中でも経済援助の禁止、融資の規制、さらには経済制裁、金融制裁までもが行われていること。

かつてのオウム真理教事件の時も、「なぜオウム真理教の資産・財産が押さえられないのか」という意見が沸騰した。あれだけの凶悪事件を引き起こし、甚大な犯罪被害をもたらし、多くの被害者がいるのに、オウム真理教は破産宣告が出て、宗教法人は解散。残った財産の分配が行われたが、オウム真理教の犯罪による被害総額から比べれば、まことに微々たるもの。

その後、国会で成立した「オウム真理教被害者救済法」は、団体規制法による「観察処分」を受けた破産法人、すなわち、オウム真理教の役職員や構成員等が有している財産について、オウム真理教から法律上の原因なく取得した財産であると「推定」するという法律である。オウム真理教の役職員や構成員である信者は、自分が現在有している財産について、オウム真理教から取得したものでないことを自ら立証できない限り、オウム真理教の財産であるとして取り上げられて破産財産に組み込まれ、被害者に対する支払いに使用することを認める法律である。しかしこれでもカルト宗教対策としては、まことに不充分である。そもそもこの法律そのものが、オウム真理教事件当時は存在しておらず、大量殺人が発覚した時点において、カルト宗教指定も特定危険謀略カルト宗教指定もできず、経済制裁も金融制裁も資産凍結もできなかった。

 

 

□カルト宗教指定と同時に指定カルト宗教に対する経済制裁、金融制裁、資産凍結を断行すべき

 

オウム真理教被害者救済法が国会で成立したのは平成20(2008)6月のことで、オウム真理教事件が起こってから何と13年後のこと。カルト宗教被害が発覚してから13年後に被害者救済法を制定しても全く手遅れである。カルト宗教被害が発覚してから13年後に被害者救済法を制定しても意味がない。その時は、すでに破産宣告を受け、宗教法人は解散になり、資産は隠匿されてしまった後だからである。カルト宗教被害が発覚した時に、カルト宗教指定や特定危険謀略カルト宗教指定を行い、指定カルト宗教に対する経済制裁、金融制裁、資産凍結を断行すべきなのである。それができるようにカルト宗教取り締まり新立法の制定が必要なのである。

金正日3
 

(アメリカ国務省からテロ国家指定されていた北朝鮮・金正日)