■検証14・日興が身延山久遠寺第二祖貫首に登座した史実は存在しない7

 

□重要文化財指定の日興真筆・日蓮遷化記録が偽書ということは絶対にあり得ない

 

富士門流八本山のひとつ・西山本門寺という寺は、古くからの古文書、漫荼羅本尊が多数格蔵されており、平たく言うと、文化財の宝庫のようになっている。客殿前に建っている「西山本門寺略縁起」と書かれた案内板の記述によれば、日蓮真筆本尊、日蓮生母頭髪、日蓮所持の念珠、日蓮消息文・和漢王代記、一代五時鶏図、高橋殿御返事、浄土九品釣物、法華証明抄、日興真筆本尊14幅、日興筆・日蓮遷化記録、日興所持念珠、日代真筆本尊8幅、歴代貫首筆本尊百数十幅、紺紙金泥法華経十巻、常子内親王筆・紙墨法華経八巻、等々が格蔵されている、となっている。

西山本門寺37縁起
 

(西山本門寺客殿前に建っている「西山本門寺略縁起」と書かれた案内板)

「西山本門寺略縁起」は、西山本門寺が建てた案内板ですが、客殿の前には、富士宮市教育委員会が建てた重要文化財の看板がいくつも建っていて、その中に「日蓮遷化記録」がある。

西山本門寺34遷化記録
 

(富士宮市教育委員会の案内板「日蓮遷化記録」)

西山本門寺のある所は、静岡県富士宮市西山ですが、元々は静岡県富士郡芝川町西山と言っていた。芝川町というのは、日本の商用電源周波数の境界である富士川が縦断するため、同じ町で2つの電力会社(東京電力 (50Hz) と中部電力 (60Hz) の管轄エリアに分かれていることで有名だった町である。つまり、西山本門寺のある所は、元々は芝川町だったのですが、20103月に富士宮市に編入合併されて芝川町が消滅。芝川町のエリアが丸ごと、富士宮市になった。

ところが、面白いことに、これら重要文化財の案内板は、全て芝川町が富士宮市に編入合併される以前に建てられたものばかりなのですが、これらの案内板を建てたのは全て、富士宮市教育委員会になっている。さてその富士宮市教育委員会の案内板は

「静岡県指定文化財・本門寺の厨子」

「国指定重要文化財・紺紙金泥法華経十巻」

「国指定重要文化財・常子内親王筆・紙墨法華経八巻」

「国指定重要文化財・法華証明抄」

「国指定重要文化財・日蓮遷化記録」

と、客殿前にいくつも並んでいます。

西山本門寺35法華証明抄


西山本門寺36法華経
 

(西山本門寺客殿前の富士宮市教育委員会の案内板)

 

 

 

□日興真筆・日蓮遷化記録が真書なら「二箇相承」「唯授一人血脈相承」は後世の偽作である

 

この中で最も注目されるのは、日興真筆の「日蓮遷化記録」が西山本門寺に格蔵されていて、これが国の重要文化財に指定されているという事実。国の重要文化財に指定されているということは、「日蓮遷化記録」が偽書ということは絶対にあり得ない。これは、日興の真筆であることは、間違いない。この日蓮遷化記録には、日蓮正宗や創価学会、顕正会、正信会が金科玉条にしている「二箇相承」「唯授一人血脈相承」を完全に否定する史実が書かれている。しかもそれは日興自らの手によって書かれているということ。すなわちそれは

「弘安五年壬午九月十八日 武州池上に入御 地頭衛門大夫宗仲

同十月八日 本弟子六人を定め置かる 此の状六人面々に帯すべし云々日興一筆なり

一弟子六人の事 不次第

一、 蓮華阿闍梨 日持

一、 伊与公 日頂

一、 佐土公 日向

一、 白蓮阿闍梨 日興

一、 大国阿闍梨 日朗

一、 弁阿闍梨 日昭

右六人は本弟子なり、仍って向後の為に定むる所、件の如し。弘安五年十月八日 」

(日蓮正宗大石寺発刊「御書全集」p18631864)

御遷化記録(御書全集)1


御遷化記録(御書全集)2


御遷化記録(御書全集)3
 

日興が執筆した 「宗祖御遷化記録」によると、「定」は六人面々に帯するべしとして、日持、日頂、日向、日興、日朗、日昭と入門・法臘の浅い者からつらね、この本弟子六人は序列なく「不次第」であると、日蓮が定めているのである。六老僧が「不次第」として順不同に記載されている。

もし日興が日蓮から血脈付法の法主・身延山久遠寺第二祖であると指名されたならば、その付法は日蓮一期弘法付嘱書によれば、すでに1282(弘安5)9月に行われているのであり、「定」の序列を「不次第」とする必要はなく最上位に置かねばならないはずである。にもかかわらず、それがなされていないという根本的な矛盾がある。1282(弘安5)9月に日蓮が本当に日興に血脈相承していたならば、翌108日に本弟子六人の序列を「不次第」と定めることなど、有り得ない。

さらに一旦、本弟子六人の序列を「不次第」と定めておきながら、日蓮入滅の直前に日興を再び身延山久遠寺の別当に任命するなど、絶対に有り得ないことだ。こんなに矛盾した話しはない。

つまり、「日蓮遷化記録」の内容と「二箇相承」の内容が矛盾しており、どちらかが「正」で、どちらかが「偽」である。国の重要文化財に指定されている「日蓮遷化記録」が偽書ということは絶対にあり得ない。よって「日蓮遷化記録」が「正」で、「二箇相承」が「偽」である。日興が書いた日蓮遷化記録に照らし合わせれば、「二箇相承」「唯授一人血脈相承」は、後世の偽作であることは、疑いないことである。

日蓮遷化記録(日蓮宗学全書)1


日蓮遷化記録(日蓮宗学全書)2


日蓮遷化記録(日蓮宗学全書)3
 

(「日蓮遷化記録」日蓮宗宗学全書2p101105)

要山13日震書写の二箇相承(諸記録)
 

(能勢順道氏編纂『諸記録』第4部に載っている京都要法寺13祖日辰書写「二箇相承」)

大石寺14日主書写二箇相承(諸記録)
 

(能勢順道氏編纂『諸記録』第4部に載っている大石寺14世日主書写「二箇相承」)