□総二坊とは別個の新寺院なら平野道益氏とは別人の日蓮正宗僧侶が住職に任命・赴任する

 

日蓮正宗宗務院機関誌「大日蓮」平成2812月号に、「千葉県松戸市 仮称松戸寺院新築起工式」と題する記事が載っている。これは日蓮正宗が20161022日、建設予定地で強行した起工式の様子を報道したものだが、これによれば、静岡県富士宮市の日蓮正宗大石寺塔中総二坊に所属する法華講総二坊支部の信徒(法華講員)のほとんどが東京近郊在住であることから、東京近郊に新たな寺院・堂宇の建立が望まれていたところ、大石寺塔中総二坊住職・平野道益氏の発願で、千葉県松戸市秋山地区に今の建設予定地を獲得。この日の起工式を迎えた、と書いてある。(「大日蓮」平成2812月号p58)

つまり今回の秋山寺院は、大石寺塔中総二坊住職・平野道益氏の発願によるものであるため、平野道益氏と秋山新寺院反対派の住民の方々の間で、話し合いが持たれているということである。「アンチ日蓮正宗」に入ってきた情報によれば、すでに大石寺塔中総二坊出張所と称する宗教施設が、東京都葛飾区四つ木にあり、それを千葉県松戸市秋山地区に移転する、という主旨のことを、平野道益氏ら日蓮正宗側の者が、秋山新寺院反対派の住民の方々に説明している、というのである。果たして、本当にそうなのだろうか。

本当に大石寺塔中総二坊出張所と称する宗教施設を、東京都葛飾区四つ木から千葉県松戸市秋山地区に移転するだけなのなら、日蓮正宗宗務院機関誌「大日蓮」に「仮称松戸寺院新築起工式」と題する記事として載らないはずである。この記事を読むだけなら、大石寺塔中総二坊住職・平野道益氏の発願で、千葉県松戸市に大石寺塔中総二坊とは、別個の新寺院が建設される記事に見える。そうなれば、新寺院には平野道益氏とは別人の日蓮正宗教師僧侶が、大石寺法主から住職に任命されて、松戸新寺院に赴任してくることになる。

「アンチ日蓮正宗」管理人は、日蓮正宗と創価学会が和合路線を歩んでいた「宗創和合時代」の1980年代から30年以上にわたって、日蓮正宗宗務院機関誌「大日蓮」を注視してきているが、末寺寺院の出張所の新築起工式が、「大日蓮」に掲載されることは、まず有り得ない。「大日蓮」に掲載されるのは、新しい末寺寺院の建設起工式である。ただし、「大石寺出張所○○院」と称する宗教施設の起工式が、「大日蓮」に載ったことは、過去にわずかながらあった。

日蓮正宗の新末寺新築のパターンは、それこそ様々なパターンがある。大石寺法主が個人的な「サイフ」のカネで新末寺を建設する場合もあれば、宗教法人「日蓮正宗」が新末寺を建設する場合もあれば、「日蓮正宗」に包括される法人「大石寺」が新末寺を建設する場合もあれば、「日蓮正宗」の内部機関である寺院建設委員会とか、遠忌記念局とかが新末寺を建設する場合もあれば、日蓮正宗の僧侶が新寺院を発願して建設する場合もあれば、日蓮正宗の信徒ないしは信徒団体が新寺院を発願して建設する場合もある。このようにパターンとしては、様々である。

松戸新寺院・大日蓮3
 

(日蓮正宗宗務院機関誌「大日蓮」平成2812月号に載っている「千葉県松戸市 仮称松戸寺院新築起工式」と題する記事)

 

 

□平野道益氏とは別人の住職は法的に平野道益氏と建設反対派の「約束事」を守る義務がない

 

ここで注意しなければならないのは、発願主と新寺院の住職は、必ずしも同一人ではないということである。例えば発願主Aが、日蓮正宗の新寺院建設を発願したとする。すると発願主Aは、新寺院建設の計画、建築許可、用地買収、建設業者選定、起工式、周辺住民への説明、話し合い、上棟式、定礎式、新築落慶入仏式までの全てを取り仕切る。もちろんそれは、日蓮正宗管長・代表役員である大石寺法主の指南、日蓮正宗管長の指揮下にある日蓮正宗宗務院の指導を受けながら進めて行く。そして新築落慶入仏式の時に、発願主Aが新築落慶入仏式に下向・臨席した大石寺法主に、新寺院の土地・建物・什器一式全てを供養する「供養目録」を奉呈。これに対して、大石寺法主が発願主Aに「受書」を渡して、新寺院の土地・建物・什器一式が日蓮正宗の所有になる。その直後、大石寺法主があらかじめ新寺院住職に内定していた僧侶に、新寺院の住職に任命する「辞令」を発して手渡す。これにより、新住職が新寺院の一切を指揮・監督することになる。この場合、発願主Aが日蓮正宗教師僧侶であっても、新寺院住職に任命される教師僧侶は、発願主Aとは別人物になるケースが大半である。それらの実例を挙げよう。

1980(昭和55)年、東京蒲田・宝浄寺住職で日蓮正宗宗務院教学部長・大村寿顕(日統)(当時)が新寺院建立を発願。神奈川県藤沢市に日蓮正宗新寺院・寿照寺を建設・落成させた。その日蓮正宗新寺院・寿照寺住職に任命されたのは、大村寿顕(日統)氏の弟子として日蓮正宗に入門した教師僧侶・梅屋誠岳氏(現・日蓮正宗宗務院渉外部長)である。

2000年、東京向島・本行寺住職(当時)の高野日海氏が新寺院建立を発願。神奈川県横浜市戸塚区に日蓮正宗新寺院・宣法寺を建設・落成させた。その日蓮正宗新寺院・宣法寺住職に任命されたのは、高野日海氏の弟子の高野千道氏である。そして法華講本行寺支部に所属する横浜市近郊に在住する信徒を組織して、法華講本行寺支部から独立した法華講宣法寺支部をつくった。こういうケースを日蓮正宗では本行寺支部からの「株分け」と呼んでいる。江戸時代以前の鎌倉・室町・戦国・安土桃山時代での、これらのケースでは、寿照寺は宝浄寺の末寺に、宣法寺は本行寺の末寺になったのだが、現代ではそうはならず、全て一律に日蓮正宗総本山である大石寺の末寺になる。

これらの実例からすると、もし仮に「大日蓮」平成2812月号に掲載されているように、「千葉県松戸市 仮称松戸寺院」ということであれば、それは大石寺塔中総二坊とは別個の新寺院ということであり、その新寺院の住職に赴任する人物は、平野道益氏とは別人物になる可能性が非常に高い。そうすると現在、平野道益氏と秋山新寺院建設反対派住民の方々の間で、話し合いが持たれ、両者で「取り決め」「約束事」をする動きがあるようだが、これが仮に新寺院の住職に赴任する人物が、平野道益氏とは別人物になった場合、平野道益氏と秋山新寺院建設反対派住民の方々の間での「取り決め」「約束事」が全て反故にされてしまう可能性が高いと言える。つまり、平野道益氏とは別人物は、平野道益氏と秋山新寺院建設反対派住民の方々の間での「取り決め」「約束事」を守る義務が、法的にないからである。

ただし、松戸市秋山の新寺院が大石寺塔中総二坊出張所になる可能性がゼロになったわけでもない。どちらになるか、これは新寺院落成の日にならないと、わからないのではないか。いずれにせよ、この松戸市秋山に新寺院を建設しようとしている日蓮正宗の動きは、今後とも厳しく監視していく必要性があるでしょう。

大村日統2
 

(神奈川県藤沢市に日蓮正宗新寺院・寿照寺を発願・建設・落成させた大村寿顕氏

・「日蓮正宗法華講連合会第27回総会」写真集より)

梅屋誠岳1
 

(日蓮正宗新寺院・寿照寺住職に任命された梅屋誠岳氏・「日蓮正宗法華講連合会第27回総会」写真集より)