□絶大な権力を握り実質的な封建絶対専政君主として日蓮正宗の頂点に君臨する大石寺法主

 

日蓮正宗とは、一体どんな権力構造になっているのか。これは日蓮正宗という宗教を徹底検証していく上で、重要なポイントである。世間一般では「世間の会社組織や財団・社団法人みたいなものではないのか」という見方があるようだが、これは全く誤った見解である。日蓮正宗という宗教は、世間の会社組織や財団・社団法人とは全く違う。では具体的にどこが違うのか。

日蓮正宗とは最高指導者・大石寺法主(ほっす)に権力が一極集中した法主専政のカルト宗教である。日蓮正宗の最高指導者は、宗教法人・日蓮正宗の代表役員だが、日蓮正宗の宗制(しゅうせい)宗規(しゅうき)によって、日蓮正宗総本山である大石寺の法主(ほっす)が、日蓮正宗の宗務行政の首長である管長(かんちょう)、宗教法人・日蓮正宗の代表役員、日蓮正宗の被包括法人・大石寺の代表役員、大石寺貫首(住職)を兼任する。日蓮正宗の宗制(しゅうせい)宗規(しゅうき)とは、日蓮正宗の憲法・法律に相当するものである。

大石寺の法主(ほっす)とは、「日蓮・日興から歴代の大石寺法主のみが相伝してきた」と日蓮正宗が自称する「唯授一人(ゆいじゅいちにん)の血脈相承(けちみゃくそうじょう)」を相伝された人物。

しかし「唯授一人の血脈相承」とは、日蓮、日興とは無関係で、大石寺9世日有の偽作である。

□大石寺法主の「唯授一人血脈相承」は大石寺9世日有の偽作だ

http://anti-nichirenshoshu.doorblog.jp/archives/cat_701474.html

「誰を次の法主にするか」を決めるのは当代の法主が決める。この決定には、法主以外の僧侶、能化や総監、重役といえども、誰人も容喙(ようかい・横から口を出すこと。くちばしを入れること)することができない。法主の選定によって次代の新法主が決まると、現法主、学頭(次代法主)、宗務総監、重役及び能化によって構成する「管長推戴会議」が招集されて、ここで新法主が日蓮正宗管長に就任する。この決定にも、誰人も異議を唱えることができない。ということは、新法主の選定に当たって、当代の法主の決定に、誰人も容喙できず、異議も唱えられないわけだから、当代の法主が、次代の新法主を選定した時点において、実質的に新法主が、日蓮正宗の宗務行政の首長である管長(かんちょう)、宗教法人・日蓮正宗の代表役員、日蓮正宗の被包括法人・大石寺の代表役員、大石寺住職の全てを兼任する。このように日蓮正宗では、総本山大石寺法主・大石寺貫首(住職)、日蓮正宗管長、日蓮正宗代表役員が同一人であり、大石寺法主が絶大な権限を握る、実質的な封建絶対専政君主として、日蓮正宗の頂点に君臨している。この点は、他宗派と大きく異なっている点である。

日蓮宗の場合は、総本山・祖山は身延山久遠寺であるが、日蓮宗管長・代表役員は、身延山久遠寺法主が就くとは限らず、大本山池上本門寺貫首、京都妙顕寺貫首等が日蓮宗管長に就任したケースもあった。よって日蓮宗管長・身延山久遠寺法主に絶大な権限が一極集中しているとは言えない。浄土真宗大谷派(東本願寺)の場合は、明治時代以降、歴史的な経緯もあって、宗祖親鸞の血筋を引く大谷家の当主が、法主、管長、本願寺住職を一元的に継承・掌握し、高い宗教的権威と強い権限とを有していた。その後の「お東紛争」で、絶対専政君主的な法主、管長、本願寺住職は廃止され、門首が新たに置かれている。

 

 

1970年代の軍事独裁体制の韓国大統領並みの絶対権力を握る日蓮正宗管長・大石寺法主

 

宗教団体の制度だけを論じても、世間一般の人には、実に分かりにくい話になってしまう。そこで国家のしくみに例えてみたい。日蓮正宗の最高指導者は、大石寺法主・日蓮正宗管長であり、管長を宗務行政の長とする宗務院(しゅうむいん)が、政府・内閣に相当する。宗務院は、日蓮正宗管長(大石寺法主)を補佐する宗務総監の指揮監督の下、庶務部・教学部・布教部・海外部・渉外部・財務部の6部門によって宗務行政が分担される事務機構になっている。庶務部・教学部・布教部・海外部・渉外部・財務部の各部には部長、副部長、主任、書記が置かれており、宗務総監と庶務部・教学部・布教部・海外部・渉外部・財務部の部長、副部長は日蓮正宗管長が任免し、庶務部・教学部・布教部・海外部・渉外部・財務部の主任、宗務院書記は宗務総監が任免する。

そして教師僧侶の選挙で選出される宗会議員(しゅうかいぎいん)で構成される宗会(しゅうかい)が、宗制宗規の改正、予算案、決算案の審議等を行う。宗会は、いわば国家の国会に相当する。

同じく教師僧侶の選挙で選出される監正会員で構成される監正会(かんせいかい)が、国家の裁判所に相当する。ただし、日本をはじめ欧米先進国では、立法・行政・司法の三権分立が確立しているが、日蓮正宗の場合は、最高指導者の大石寺法主・日蓮正宗管長が、行政権と司法権(僧侶・信徒の破門・除名等の懲戒処分)を握っているため、宗会の立法権もほとんど形骸化してしまっている。監正会も裁判所に相当するとは言っても、法主・管長をトップとする宗務院が下す懲戒処分の異議申し立てを聞くだけ。監正会もほとんど形骸化している。なぜこうなっているのかというと、日蓮正宗とは最高指導者・大石寺法主(ほっす)に権力が一極集中した法主専政になっているからである。日蓮正宗のしくみは、1970年代のころの、軍事独裁体制だったころの韓国のしくみによく似ており、大石寺法主は、まさにあの当時の韓国大統領並みの権力を握っている。ではなぜ大石寺法主は、これだけ絶大な権力を握っているのか。ここで大石寺法主としての権限、日蓮正宗管長としての権限を列記してみる。

■法主の権限

1本尊(大曼荼羅)の書写 □2日号・上人号・院号・阿闍梨号の授与 □3教義に関する正否の裁定 □4 能化・大僧都から次期法主を選んで血脈を相承する □5能化・大僧都から次期法主候補者として学頭を任命する

■管長の権限

1日蓮正宗の法規の制定・改正・廃止および公布 □2 訓諭・宗務院命令・通達の公布

3 宗会の招集・停会・解散  □4 選挙の発令

5宗務院の総監、庶務・教学・渉外・布教・海外・財務各部部長、副部長、大布教区大支院長、副大支院長、布教区支院長、副支院長、富士学林長、参議、布教師、布教師会会長、寺族同心会、監正会その他の職、役職員の任命、罷免、認証、宗会議長、監正会長、参議会議長の認証、

6 末寺住職、主管、代務者の任命、罷免、僧階の昇級、降級、得度の許可、寺院教会の等級の認証、副住職、副主管、末寺総代の承認

7 僧侶に対する褒賞・懲戒、懲戒の減免、復級、復権又は僧籍の復帰

8 檀信徒に対する褒賞・懲戒、法華講支部の解散、活動停止、譴責等の懲戒

9 法華講本部役員(指導教師・総講頭・大講頭・幹事・会計)の任命、罷免、法華講連合会役員(委員長、副委員長・理事・幹事)の任命、罷免、承認、認証、法華講支部役員(講頭・副講頭・幹事・会計)の認証、法華講支部結成の許可、法華講支部規約の承認

10 日蓮正宗、寺院、教会の財産の監督 □11 宗費の賦課徴収・義納金の徴収

12 法華講講頭会の招集 □13 各種事業の監督

14 日蓮正宗の法規で定めるところによって一宗を総理する

15 管長推戴会議を招集・議長になる

16 宗会を招集することが出来ない時、臨時の令達を出す

17 その他、日蓮正宗の法規に定める事項・必要と認める事項

このように、大石寺法主は宗務行政、司法に関する絶大な権限を有しており、法主に逆らえば、住職罷免、僧階降格、僧階奪階、擯斥・破門が待ち受けており、僧侶は寺院から出て行かなくてはならなくなる。特に僧侶の生殺与奪の権限を握っている。したがって宗務院のみならず、宗会も監正会も大石寺法主には絶対に逆らうことが出来ない。よって大石寺法主は、日蓮正宗における絶対専政君主なのである。

第188宗会1

第188宗会2

(日蓮正宗の立法機関なのにほとんど形骸化している「宗会」/日蓮正宗宗務院機関誌「大日蓮」平成284月号より)