■検証25・日興が身延山久遠寺第二祖貫首に登座した史実は存在しない18

 

□「日本のダビンチ・コード」のミステリー・大石寺59世堀日亨の「偽作説支持」の隠れた本心

 

日蓮正宗大石寺59世法主堀日亨は、本心では「戒壇の大本尊」なる板本尊、「二箇相承」「日興跡条条事」「百六箇抄」「本因妙抄」偽作説を支持していたが、もちろん公式に「偽作説が正しい」と正式に宣言しているわけではない。堀日亨は、膨大な自らの著書や編纂した文献の頭注などにまぜて、自らの「本心」をところどころに織りまぜるという形で表明している。

これはまさに「日本のダビンチ・コード」とも言うべきミステリーである。

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」には、イエス・キリストはマグダラのマリアと結婚しており、磔にされた時、彼女はキリストの子供を身ごもっていた、という暗号(コード)が含まれているとした2006年の大ヒット映画「ダビンチ・コード」は、あまりにも有名になった。

この「堀日亨の隠れた本心」とは、まさに映画「ダビンチ・コード」の日蓮正宗版である。

「ダビンチ・コード」の原作で著者は「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」と述べ、映画「ダビンチ・コード」の製作者は「今世紀最大の話題作」だとしているが、当然、これはフィクションである。イエスの婚姻関係および子供に関しての確たる証拠はなく、現在も研究は続いているものの、史料が根本的に不足しているのであり、学術的かつ客観的結論を得るのはまず不可能であるのが現状である。

しかし大石寺59世堀日亨の場合は、史料不足どころか、膨大な史料が残っており、そのところどころに、堀日亨の隠れた本心が顕れている。これはフィクションでも何でもない、事実である。

「堀日亨の隠れた本心」の場合は、堀日亨独特の暗号・パズルのようになっているようで、これが実に面白い。その堀日亨の隠れた本心を記した暗号・パズルとは、「富士宗学要集」1巻に書き残した、「百六箇抄」「本因妙抄」等々のいわゆる「相伝書」の一部の文は、日蓮以降100200年くらいの間に加筆されたとする「部分後加説」であり、「富士宗学要集」全般にわたって堀日亨が書き記した頭注。あるいは著書「富士日興上人詳伝」で、身延離山の日興の荷物の中に「戒壇の大本尊」なる板本尊があったかどうかについては「研究の余地が存ずる」と言っていること。

「延山(身延山久遠寺のこと)の常住物は何一つ持ち出していない」「とうぜんのことである」とまで言っていること。そして「戒壇の大本尊」大石寺9世日有偽作の文献的証拠である「新池抄聞書」を、「富士宗学要集」には収録しなかったが、著書「富士日興上人詳伝」に収録していること等である。日蓮正宗大石寺法主を経験した堀日亨が、日蓮正宗の根幹である「戒壇の大本尊」なる板本尊やさまざまな「相伝書」と言われる文書を否定するかのような記述を、なぜあえて残したのか。

それはまさに堀日亨が、本心では「戒壇の大本尊」なる板本尊、「二箇相承」「日興跡条条事」「百六箇抄」「本因妙抄」偽作説を支持していたからに他ならないからではないか。

 

 

□大石寺59世法主を歴任したため戒壇大本尊・相伝書偽作説支持を公然と言えなかった堀日亨

 

それにしても、なぜ堀日亨は、こんな複雑怪奇なことをしたのか。大石寺法主を経験した堀日亨が、「戒壇の大本尊」なる板本尊や「二箇相承」をはじめとする「相伝書」と言われている文書の偽作説を認めるということは、これは言わば、ローマ法皇が「旧約聖書・新約聖書は偽書」「キリストは救世主ではない」と言うことに等しい。これと同じ事である。ローマ法皇がキリスト教の教義や公式見解を否定すれば、それこそキリスト教は大激震に見舞われる。それと同じで日蓮正宗大石寺の法主を経験した堀日亨が、公式に「戒壇の大本尊」なる板本尊や「二箇相承」をはじめとする「相伝書」と言われている文書が「後世の偽作である」など言ってしまったら、日蓮正宗はそれこそ大激震に見舞われることになる。

そこで堀日亨は、膨大な自らの著書や編纂した文献の頭注などにまぜて、自らの「考え」をところどころに織りまぜるという形で表明した。この「富士日興上人詳伝」p212の記述は、これらのほんの一例にすぎない。堀日亨の著書や編纂した文献の、ところどころに、そういう堀日亨の「隠れた本心」が垣間見得るのである。つまり堀日亨は、大石寺の「戒壇の大本尊」なる板本尊や「二箇相承」をはじめとする「相伝書」と言われている文書は、ことごとく後世の偽作であるとする説を支持しているのである。


59世日亨1
 

(大石寺59世堀日亨)


ダビンチコード2
 

(映画「ダビンチ・コード」)


要山13日震書写の二箇相承(諸記録)
 

(能勢順道氏編纂『諸記録』第4部に載っている京都要法寺13祖日辰書写「二箇相承」)


大石寺14日主書写二箇相承(諸記録)
 

(能勢順道氏編纂『諸記録』第4部に載っている大石寺14世日主書写「二箇相承」)