□「宗創戦争」が激烈だった1990年代に年間2~3万人ペースで信者数を拡大した日蓮正宗
日蓮正宗は、1980年代以降、旧来からの信徒講の団体である法華講連合会に対して、1990年の大石寺開創七百年に三万総会、1994年に六万総会、2002年の日蓮・立宗750年に三十万総登山会、2009年の日蓮・立正安国論750年に五十万総登山会、2015年の日興生誕770年に法華講員50%増、2021年の日蓮生誕800年に80万法華講員達成を号令。日蓮正宗寺院信徒である法華講員を、強引、執拗な折伏・布教活動に駆り立てている。これにより日蓮正宗・法華講は、1990年代以降、特に大石寺68世早瀬日如法主(日蓮正宗管長)登座以降、急激に信徒数を増加させ、教線を拡大してきている。では具体的に、どれくらいのペースで、どれくらいの信徒数を増加させてきているのか。文部科学省・文化庁では毎年「宗教年鑑」という名の統計を発行している。そこで「アンチ日蓮正宗・仏教宗学研究会」では、この「宗教年鑑」の統計を元にして、1995年から2016年までの22年間の日蓮正宗教師(僧侶)数、信徒数、信徒数増減の推移一覧表を作成した。
教師僧侶とは、住職になる資格を持つ僧侶で、末寺寺院住職と在勤教師(無任所教師)の合計。参考資料として、同じく「宗教年鑑」から、日蓮正宗とよく比較される日蓮宗の檀信徒数をピックアップして一覧表に載せた。
(1995~2016年・日蓮正宗教師(僧侶)数・信徒数・信徒数増減の推移一覧表/文化庁発行「宗教年鑑」の統計より作成)
(日蓮正宗の信徒数が載っている文化庁発行「宗教年鑑」)
1995年、1996年、1997年の日蓮正宗信徒数は、570万人台を推移しているが、これは「日蓮正宗信徒」の中に、創価学会員を含めているからである。日蓮正宗は1991年11月28日に創価学会を破門にしたが、個々の創価学会員個人については、引き続き日蓮正宗信徒の資格が認められ、大石寺にも登山参詣が認められていた。しかし1990年代は日蓮正宗と創価学会の「宗創戦争」が最も激しかった時期で、両者の対立は「シアトル事件」「芸者写真事件」「日寛本尊」等をめぐっってエスカレート。日蓮正宗は1997年11月30日を以て、創価学会員の日蓮正宗信徒の資格を喪失せしめた。これにより「日蓮正宗信徒」の中から創価学会員が除外され、1998年には信徒数が576万人から28万人に激減しているのである。それでは法華講員の数はどのように推移してきたのか。1998年以降の信徒数は、そのまま法華講員数だが、それ以前は「宗教年鑑」の統計からは、わからない。大石寺67世阿部日顕法主(日蓮正宗管長)は、1990年7月28日の法華講連合会第27回総会(いわゆる三万総会)の席で
「(1990年の)法華講全国の総世帯数は5万1300世帯に到達したと聞いております」
と言っている。51300世帯とは、人数にしたらどれくらいになるのか。これは推測するしかないのだが、2015年1月1日付けの日本の住民票人口統計によれば、日本の総人口128,226,483人に対して、総世帯数は56,412,140世帯。そうすると1世帯当たり2.27人になる。これをそのまま51300世帯に当てはめると、1990年の法華講員は11万6451人と推計される。
(1990年7月28日の法華講連合会第27回総会(三万総会)の席での大石寺67世阿部日顕法主の説法/日蓮正宗法華講連合会「大白法」1990年8月1日付け)
□2012年以降は対総信徒で毎年10%増加ペースで信者数を急激に拡大させている日蓮正宗
1990年12月の池田大作・総講頭罷免によって日蓮正宗と創価学会の「宗創戦争」が勃発。創価学会員が創価学会を脱会して日蓮正宗・法華講員になる流れが出来た。そうなると1990年には11万6451人だった法華講員が、1998年には28万3354人になったわけで、8年で16万7000人増加。1年で2万1000人増えていったことになる。このペースは2000年までつづくが2001年以降、増加ペースが大きくダウンする。これは2000年のシアトル事件裁判敗訴、2002年のシアトル事件裁判の日蓮正宗と創価学会の「和解」。芸者写真事件裁判の敗訴が響いていると思われる。2003年などは、前年比で信徒数が5000人も減少している。2002年のシアトル事件裁判の日蓮正宗と創価学会の「和解」以降、両者の公式ウエブサイト、機関紙誌等での批判・非難中傷は消滅。創価学会員脱会→日蓮正宗法華講という流れはほとんど萎んでしまった。その証拠に、1990年から2002年の立宗750年・30万総登山までの間に、日蓮正宗・法華講員は25万人も増加しているのに、2002年から2009年の日蓮・立正安国論750年・50万総登山までの7年で信徒の増加は2万9000人にとどまっている。これが大きく増加に転じるのは2010年以降。大石寺68世早瀬日如法主が、2009年7月26日に大石寺で行われた法華講「7万5000人総会」で
「2015年までに法華講員50%増加・2021年の日蓮生誕800年までに法華講員80万達成」の号令を発する。そして全国寺院住職・法華講支部・法華講員に、無理難題とも思えるような「折伏誓願目標」という名目の折伏・布教ノルマを押しつけ、厳しい締め付けを開始した。「折伏しなければ地獄に堕ちるぞ」といった、日蓮正宗お得意の脅迫指導は日常茶飯事。「折伏誓願目標」未達成の寺院住職は、大石寺での「折伏推進指導会」に呼びつけられ、日蓮正宗宗務院役員等から厳しい問責指導、吊し上げまがいの指導が行われ、さらに大石寺68世早瀬日如法主(日蓮正宗管長)から、「なんでオマエの寺は折伏ができないんだ」と、ネチネチと指導される。創価学会員にターゲットを絞っても日蓮正宗信徒の増加は見込めないため、折伏のターゲットを、日蓮正宗以外の全宗派、無宗教にまで拡大した。こういったことが功を奏したのか、2010年から日蓮正宗信徒数は、再び増加に転じ、2012年、2013年は3万4000人増加、2014年は4万4000人増加、2015年は6万1000人増加、2016年は6万3000人増加と、信徒増加のペースがどんどん上がってきている。2009年の法華講「7万5000人総会」以降から2016年までの7年間で27万2000人も信徒を増加させている。これは毎年10%のペースで信徒を増加させているということであり、1990年から2002年の12年間の25万人増加のペースを上回っている。このまま6万人ないし10%増加のペースで、日蓮正宗が信徒を増加させていくと、2019年には80万人を突破。2028年には日蓮正宗の信徒数は200万を突破。現在の顕正会の規模を上回り、創価学会の規模に迫る大教団になる。それだけではない。これは創価学会や顕正会など、他の「日蓮正宗系」カルト教団にも共通するのだが、本家本元の日蓮正宗も強引な折伏・布教、排他的・独善的体質、「随わなければ地獄に堕ちるぞ」との脅迫体質など、日本国憲法20条違反、国際人権規約18条違反の疑いが強い体質・指導性を持っている。1950年代から60年代にかけて、創価学会が急激に信者数を拡大した「折伏大進撃」の時代があったが、21世紀の現代に、憲法違反・国際人権規約違反の問題体質の本家本元・日蓮正宗の急激な信者数拡大を許すべきではない。こんなカルト宗教は、カルト宗教規制の新立法のもとで、宗教法人の特権を剥奪し、司法監視下に置くべきなのである。
(過酷な折伏・教線拡大の号令を出している大石寺68世早瀬日如法主/ユーチューブの映像より)
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