□法華講連合会行事にて法華講員に信仰指導を行う法華講連合会委員長・副委員長らの役員

 

日蓮正宗には、各末寺寺院単位の信徒の集まりである「法華講支部」と呼ばれる講中の他に、「信徒団体」というものがあり、この存在が、日蓮正宗という宗教団体の権力構造を実にわかりにくくしている。つまり、伝統仏教にある僧侶と信徒の基本的な関係、総本山→末寺寺院→信徒、ないしは総本山大石寺→末寺寺院→法華講の他に、法華講本部---法華講支部があり、さらに法華講連合会という信徒団体があるために、「どっちが上なのか」「どっちが指導しているのか」という疑問が噴出するというわけである。

日蓮正宗においても、僧侶・信徒の関係で言えば、総本山大石寺・大石寺法主→末寺寺院住職→法華講信徒が基本的な関係になる。「法華講支部」の連合体が法華講連合会地方部、法華講連合会地方部の連合体が法華講連合会であるので、各末寺寺院の「法華講支部」は、日蓮正宗法華講連合会に加入しているが、表向きは、法華講連合会役員は、「法華講支部」ないしは日蓮正宗末寺寺院信徒に対して、指導権限はないということになっている。「法華講支部」ないしは末寺寺院信徒に対して指導するのは、あくまでも法華講支部指導教師である末寺寺院住職である。

しかしながらそうはいっても、法華講連合会の初登山会、春季総登山会、夏季講習会登山会(旧・夏季総登山会)、月例登山会、法華講連合会総会、法華講連合会壮年部大会、婦人部大会、青年部大会等において、法華講連合会委員長等の役員は、信仰生活の指導を行っている。

日蓮正宗法華講連合会は、表向きは、全国各地の末寺寺院に所属する「法華講支部」が自発的に結成した信徒団体ということになっているが、法華講連合会委員長、副委員長が日蓮正宗管長(大石寺法主)の任命、法華講連合会理事、幹事、監事、地方部長、副地方部長、地方部理事、幹事、監事は、日蓮正宗管長(大石寺法主)の承認人事であり、日蓮正宗法華講連合会委員長、副委員長、理事、幹事、監事、地方部の地方部長、副地方部長、理事、幹事、監事の人事に日蓮正宗管長(大石寺法主)、宗務院は、露骨な人事介入を行っている。したがって、法華講連合会とは、実質的に、日蓮正宗管長(大石寺法主)・宗務院の完全な指導下・傘下にある団体である。

法華講連合会は、1962(昭和37)年に大石寺66世細井日達法主の下で結成された団体であるが、大石寺66世日達の時代には、法華講連合会役員同士の紛争、日蓮正宗宗務院と法華講連合会役員の紛争、法華講連合会役員と法華講支部の紛争がいくつもあり、法華講連合会内部の内紛から、法華講連合会未加入の法華講支部が存在した。その代表例が日蓮正宗妙縁寺に所属していた日蓮正宗妙信講(今の顕正会)である。日蓮正宗管長(大石寺法主)、日蓮正宗宗務院は、全国の「法華講支部」に対して、法華講連合会に加入するように指導している。にもかかわらず、法華講連合会に未加入・脱退する法華講支部は、法主の指南、宗務院の指導に反するということで、法華講連合会未加入の法華講支部に対して、日蓮正宗管長(大石寺法主)、宗務院・内事部は、大石寺登山参拝を許可しない。よって妙信講も、法華講連合会から脱退していた昭和41(1966)年から昭和44(1969)年の間は、大石寺登山が許可されない「登山停止」状態だった。現在のところ、法華講連合会未加入の法華講支部は存在しない。新たに結成される法華講支部もあるが、全て法華講連合会に加入している。したがって日蓮正宗の全法華講支部は、日蓮正宗法華講連合会、法華講連合会地方部の活動にも参加する。

 

法華講支部の連合会加入(大白法)
 

(法華講支部の法華講連合会加入を報じる平成7121日付け大白法)

 

 

 

□法華講本部・総講頭・大講頭を兼任する法華講連合会役員の実質傘下にある全国法華講支部

 

日蓮正宗の信徒団体・日蓮正宗法華講連合会の目的として、法華講連合会規約第5条には

「連合会は、日蓮正宗総本山及び末寺を厳護し、日蓮正宗の教義を護持弘宣して、広宣流布達成に資するとともに、法華講支部の発展をはかり、講員の信仰増進に寄与することを目的とする」

と謳われている。さらに法華講員の信条として法華講連合会規約第12条には

(1) 本門戒壇の大御本尊を信仰の根本とし、総本山(大石寺)を厳護するとともに、所属の寺院・教会を広布の道場として護持発展せしめること。

(2) 行学二道、異体同心の御聖訓を身に体し、御法主上人猊下の御指南を遵奉し、指導教師(末寺住職)の指導を受け、僧俗和合して広宣流布に邁進すること。

(3) 篤く三宝を敬い、日蓮正宗信徒たることを自覚し、四恩報謝の念を体し、もって世人の模範となること」

 

法華講連合会規約1
 

(法華講連合会の内部文書・日蓮正宗法華講連合会規約)

と謳われている。日蓮正宗の僧侶・信徒関係、組織信仰活動の基本は、総本山→末寺寺院→信徒、ないしは総本山大石寺→末寺寺院→法華講である。しかしながら、それだけでは信徒個人個人は、勤行し、寺院に参詣し、大石寺に登山参拝し、大石寺や末寺寺院に供養金を持ってくるが、法華講支部の活動レベルは、まさに千差万別であり、法華講支部単独で折伏布教実績を数十年にわたって上げてきた法道院支部、本行寺支部、大石寺理境坊妙観講支部もあれば、逆に大歓寺支部のように永年にわたって折伏誓願目標未達成がつづき、長期低落傾向がつづく法華講支部もある。これら千差万別の全国法華講支部を、毎年折伏誓願目標を達成するレベルに高める役目を法華講連合会が担っている。特に1979(昭和54)年の大石寺67世阿部日顕法主の登座以降、特にこれが顕著になってきており、日蓮正宗法華講連合会、委員長、副委員長は、大石寺67世阿部日顕法主の登座以降、折伏成果が全国でダントツの実績を挙げている法道院支部、本行寺支部の信徒と決まっている。法華講連合会幹事(総務部長、庶務部長、登山部長、企画部長、編集部長、会計部長、壮年部長、婦人部長、青年部長、少年部長)、監事も、基本的に法道院支部、本行寺支部の信徒であり、例外的に他支部の信徒が任命されるときがあるが、折伏実績を挙げている法華講支部から任命される。

法華講支部は、大石寺に事務所を置くと規定されている「法華講本部」の指揮下にあり、法華講本部には、総講頭、大講頭、幹事、会計と指導教師3人の法華講本部役員がいる。

日蓮正宗宗規第171条には

「管長(大石寺法主)は、(法華講)支部(これに準ずる講組織を含む。以下同じ)に次に掲げる事由があると認めるときは、この法人(日蓮正宗)の責任役員会(管長・総監・重役)の議決に基づいて解散、活動停止、譴責の処分をすることができる。

 一 宗綱に違反し、異説を主張して、他の信仰を妨害したとき。

 二 宗制宗規、宗門又は(法華講)本部の公式決定に違反し、宗内を乱したとき。」

と規定されている。「国立戒壇の名称を使用しない」との宗門の公式決定に違反し、日蓮正宗管長(大石寺法主)が発令した訓諭に異議を唱えて、日蓮正宗管長(大石寺法主)から解散処分に付されたのが、かつての日蓮正宗妙信講(今の顕正会)である。199012月以前の日蓮正宗と創価学会の「宗創和合時代」には、法華講総講頭は池田大作、大講頭には北条浩、秋谷栄之助、森田一哉、和泉覚、辻武寿、小泉隆、白木薫次、森田悌二、田中正一等といった創価学会幹部、平沢益吉、佐藤悦三郎、阿部唯七郎、柳沢喜惣次といった法華講連合会役員が任命されていた。したがって「宗創和合時代」では、法華講支部、法華講連合会は、池田大作総講頭以下の「法華講本部」の傘下にあった。1991年の日蓮正宗と創価学会の「宗創戦争」以降、総講頭、大講頭、幹事らの法華講本部役員は、全員が法華講連合会役員・地方部長ないしは法華講妙観講支部講頭である。したがって、実質的に全国の法華講支部は、総講頭、大講頭を兼任する日蓮正宗法華講連合会委員長、副委員長ら役員の傘下にあると言える。

 

法華講大歓寺支部規約1
 

(日蓮正宗管長の承認を得た法華講支部規約)