□自公連立政権はカルト宗教対策新立法・新条約制定の前に立ちはだかる重大な障害である3

 

「アンチ日蓮正宗」「国際カルト宗教対策委員会」が目指しているカルト宗教取締法、政教分離立法、カルト宗教拡散防止条約制定を実現するには、まず第1に、現在の自民党と公明党の連立内閣を解消し、なおかつ、自民党サイドにある「創価学会・公明党利用論」から脱却してもらわなくてはならない。それは、自公連立政権はカルト宗教対策新立法・新条約制定の前に立ちはだかる重大な障害であるからである。しかしこれはなかなか困難なことで、現在、自民党の補完勢力と化している創価学会・公明党と自民党が手を切るわけだから、これは自民党支持層の減少、減退を意味する。はたして本当に、そんなことが可能なのか。自民党が、本気でそんなことをする気があるのか、という疑問が出てこよう。

しかしよく考えていただきたいのだが、これは決して不可能なことではないと、「アンチ日蓮正宗」「国際カルト宗教対策委員会」と考えている。それはかつて自民党という政党が、自らの支持基盤、支持団体、支援団体の離反を覚悟の上で、「構造改革」を行ったことがある政党だからである。その代表的なものをあげてみよう。

まず第1は「道路」である。2001年に「聖域なき構造改革」を掲げて登場した小泉純一郎首相は、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四連絡橋公団の民営化を明言。これに対して、自民党を長年にわたって支援してきた建設業界から自民党の重鎮議員が顔を並べる「道路族」と呼ばれる族議員が猛反発。ありとあらゆる抵抗を試みた。ところが小泉純一郎首相は、「私の内閣の方針に反対する勢力は、全て抵抗勢力」と切って捨て、自らのリーダーシップで民営化路線を推し進めた。そして建設業界団体や道路族議員たちの反対を押し切って、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四連絡橋公団の民営化を断行した。

2に「郵政」。小泉純一郎首相は、1979年の大蔵政務次官就任当時より郵政事業の民営化を訴え、宮沢内閣時の郵政大臣在任時や、第2次橋本内閣の厚生大臣在任時、はじめて自民党総裁選挙に立候補したときから、郵政民営化を訴え続けていた。しかし郵政三事業の民営化は行政サービスの低下につながるとして、激しい反対論が野党はもとより自民党内からも噴出。そもそも郵政三事業そのものが、自民党の最大の支援団体であり、自民党の「郵政族」と言われる族議員のみならず、自民党議員の大多数が特定郵便局長会をはじめとする「郵政」の支援を受けて当選していた。2001年に小泉純一郎氏が自民党総裁・内閣総理大臣に就任すると、「郵政民営化を構造改革の本丸」と位置付け、まず国営事業だった郵政事業を「日本郵政公社」に、さらに2005年に郵政民営化法案を国会に提出して、郵政民営化を断行しようとした。

これに対して野党議員のみならず、自民党から反対37票・棄権14票と造反が出たが、賛成233票・反対228票という僅差で可決された。参議院では自民党から反対22票・棄権8票が出て、賛成108票・反対125票で否決された。小泉純一郎首相は、「国民に直接、郵政民営化に賛成なのか、反対なのか、聞いてみたい」として、衆議院を解散。衆議院総選挙の結果、自民党は290議席を超える圧勝になり、再度、郵政民営化法案が国会に提出され、衆参両院で可決、成立した。

 

 

 

□自民党は公明党との連立を解消して宗教法人課税問題、カルト宗教取締立法に取り組むべき

 

この道路公団民営化、郵政民営化は「自民党をぶっ壊す」と宣言していた小泉純一郎氏の象徴的な有言実行の政策で、これにより文字通り、旧来型の自民党政治が「ぶっ壊された」と言えよう。

3は「農業」「農協」である。農業票、農村票も、戦後一貫して自民党政治を支えてきた、自民党最大級の支援勢力。その中核を担ってきたのが「農協」である。20世紀後半の時代、まさに「農協」も、自民党の最大級の支援団体でありつづけてきた。その農業票、農村票、「農協」を支えるべく、自民党は戦後、1980年代のころまで、一貫して保護農政を行ってきた。戦時立法の食糧管理法をそのまま存続させ、国内の米を政府が全量買い上げて、安い価格で消費者に供給するシステムをつづけてきていた。ところが米余剰の時代が到来。政府は米の全量買い上げをやめて、自主流通米を認める一方、米価を支えるために、米の生産調整である「減反」政策をはじめた。

さらに1990年代に入ると、1993年の米の大凶作があり、GATTのウルグアイラウンドで、日本に対して、米の輸入自由化、米の関税化の国際的圧力がかかった。ウルグアイラウンドでは、米の関税化を受け容れないかわりに、ミニマムアクセス(最低輸入量)を受け容れることで決着。さらに国内の食糧管理法廃止・米自由化圧力に抗しきれなくなり、食糧管理法を廃止して、新たに食糧法を制定。米の政府買い入れは備蓄米に限定され、米の取引は自由化され、それまで「ヤミ米」と言われていた自由米が、堂々と国内市場を流通することになった。

さらに2010年代に入ってからは、日本がTPP交渉に参加。ここでも米輸入自由化への圧力がかかる。こうした中、2012年に登場した第2次安倍晋三内閣では、それまでの保護農政一辺倒から、国際化、自由化に勝ち抜く強い農業に育て、農業を成長産業に育てていく政策に大転換した。さらに農協法を改正し、農協へのJA全中の監査を廃止し、分離する改革を断行した。

このように21世紀に入ってからの「道路」「郵政」「農協」といった改革は、それまで一貫して自民党を支えてきた支持団体、支援勢力が、不利益を蒙る「構造改革」である。自民党は自らの支持団体、支援勢力の離反覚悟の上で、行った改革と言えよう。

自民党は、1990年代から、衆議院、参議院で過半数の勢力が確保できない中、公明党と連立内閣を組むことによって、政権を維持してきた。しかし今や、これを改革すべき時が来ている。

2012年の自民党の政権復帰、第2次安倍晋三内閣の登場以降、自民党員数は増加傾向にあると聞く。今こそ、自民党は、公明党との連立を解消して、長年にわたって置き去りにされてきた宗教法人課税問題、カルト宗教取締立法に取り組むべきである。

 

自民党本部1
 

(自民党本部・ユーチューブの映像より)

 

公明党本部2
 

(公明党本部)