□公明党比例区得票数の減少は創価学会員票の減少、創価学会員の減少を意味している

 

公明党の参議院選挙の全国区・比例区、衆議院選挙の小選挙区比例代表並立制導入以降の比例区の得票数は、全国の創価学会の勢力がどれくらいなのか、創価学会員数はどれくらいなのかを推し量るバロメーターである。公明党は創立以来-----というより、前身の創価学会文化部、公明政治連盟だった時代からそうであるが-----創価学会と完全な政教一体の総力戦とも言うべき選挙戦を行ってきている。1969(昭和44)から1970(昭和45)年にかけての言論出版妨害事件で世間・マスコミ・評論家・社会党・共産党からモーレツな批判をあびた創価学会は、1970(昭和45)53日の本部総会の席で、池田大作会長が「政教分離宣言」を行っている。しかし、この政教分離宣言の後も、創価学会・公明党の政教一体選挙は全く変わっていない。1960年代のころは公明党の議員が創価学会の役職を兼任していたのを、1970年の政教分離宣言で、公明党の議員と創価学会の役職を、形式的に「分離」しただけのことである。創価学会と公明党の説教一致体質は、今も変わっていない。

では、日本全国に創価学会員はどれだけいるのか、という統計だが、創価学会は公式には本尊下附の累計数である827万世帯としか発表していない。しかもこの数字は、ここ数十年来、なぜか変わっていない。本尊下附の累計数なら、どんどん増えていくはずなのに、数十年来、変化がないのは、どういうことだろうか。これは、創価学会員の本当の数字を公式に発表すると、公明党の得票数との乖離がバレてしまい、創価学会員の活動実態が外部に明るみになるのを、嫌っているのではないかと思われる。つまり創価学会員の「本当の数字」は、創価学会が公式に発表したくない、創価学会にとって都合が悪い情報なのである。

では創価学会員の総数の統計は、全くないのかというと、そういうわけでもない。参考になるのは、1991年以前の日蓮正宗と創価学会が和合路線だった「宗創和合時代」のころの日蓮正宗信徒数の統計である。この時代、創価学会員は全員が日蓮正宗の信徒だった。宗創和合時代のころの日蓮正宗信徒の総数は、島田裕巳氏著「創価学会」によれば、1989年末で1784万人。これは文化庁の「宗教年鑑」の統計によるものと思われる。島田裕巳氏はここから2001年末の日蓮正宗信徒数36万人を引いた数が創価学会員だとしているが、この計算は間違っている。日蓮正宗信徒の中には墓檀家、法華講員、寺院直属信徒(檀徒)も入っているが、1989年末の段階で、数としては10万人に届いていなかった。19907月に、日蓮正宗では法華講員を総力で大石寺に結集し47000人総会を行っていることからして、総数が10万人以下であったことは明らか。だから1784万から10万を引いた1774万が創価学会員。つまり日蓮正宗信徒の99%が創価学会員だった。

こり1774万人という数字をひとつの基準値として計算すると、これは大人から子供、赤ちゃんまで全ての総数だから、子供を除いた成人の数字は、2013年の未成年者の全人口比が17.6%だから

全体の約82.4%。さらに創価学会員の投票率が関係してくるが、創価学会員の場合は、投票日の当日は連れだし等々の活動をするので、一般の投票率より高くなり、これが約75%。創価学会員の活動実態は、役職を持ったりして積極的に日常活動に参加するAランクの会員が約三分の一。誘われれば活動に出てくる、消極的なBランクの会員が約三分の一。誘われても何をされても創価学会活動に出てこない、Cランクの名前だけの創価学会員が三分の一とされる。この中で公明党に投票するAランク、Bランクの会員を全体の67%とすると1774万×0.824×0.75×0.67734

万という数字が出てくる。これが公明党を支える創価学会員の岩盤基礎票である。

 

 14-15日蓮正宗・創価学会信徒数統計・島田裕巳「創価学会」


島田裕巳「創価学会」

(島田裕巳氏著「創価学会」に載っている創価学会員数の計算)

 

1962-2019公明党得票数
 

(1公明党国政選挙全国区・比例区得票数一覧)

 

 

 

2005年以来、約15年にわたって公明党得票数・創価学会員数が前例のない長期低落傾向にある

 

この他に、選挙になると創価学会員が外部に投票を依頼するF票がある。創価学会は選挙戦になると、「F()を取ってこい」と全創価学会員に指令を出し、ほとんど毎日のようにF票の集計をして本部に吸い上げる。これは国政選挙だけでなく、地方議会選挙も同じ。ではこのF票はどれくらいあるのか。選挙戦の終盤になってくると、F票の総計はどんどんうなぎ登りに上昇していく。そして何と国政選挙では、F票の総計数が日本の総人口の10倍、20倍どころではない。50倍にまでふくれあがる。これは創価学会幹部から、さんざんハッパをかけられ、けしかけられた創価学会員がウソのF票獲得の報告をしたか、F票報告が二重、三重、四重にダブっているか、そういうところから生まれるわけだが、これも国政選挙だけではなく、地方議会選挙も同じ。ではこんなとんでもない数字から、どれだけ公明党に票が入るかを推計、計算するのか、というと、公明党岩盤基礎票734万の5%で計算すると36万。すると公明党岩盤基礎票の734万とF36万を合算すると770万になり、この数字が、自公連立以前の公明党比例区の最高得票数と、ほぼ一致する。

そうすると2017年衆議院選挙時の公明党得票697万票、2019年参議院選挙時の公明党得票653万票との関係は、どうなるのか。自公連立成立以降は、公明党得票の中に、創価学会員票、F票の他に自民党の協力票が入っている。2017年のF票と自民党票を100万票弱、2019年は九州四国地方の大雨等の影響で投票率がかなり低かったため、F票と自民党票を50万票とすると、創価学会員票は600万票そこそこぐらいだったということになる。

そうすると自公連立以前の公明党最高得票時(1998)における創価学会員票734万票と比べると、何と約134万票も減少していることになる。これをどう解釈すべきか、ということになるが、これはどう考えても、明らかに創価学会員の減少と解釈する以外にあるまい。

創価学会を退会した信者は、その後、日蓮正宗、顕正会、正信会、富士門流執着軍団、保田妙本寺、京都要法寺、日蓮宗等に入ったとしても、選挙時に、公明党に投票することは皆無に等しい。したがって公明党岩盤基礎票である創価学会員票の減少は、それはそのまま創価学会員の減少を意味する以外にない。

20世紀の時代に、創価学会員が減少した時は3度ある。1度目は1970年の言論問題、松本勝弥・保田妙本寺問題、創価学会VS妙信講問題の時。2度目は1970年代後半の日蓮正宗VS創価学会の第1次紛争、池田大作の創価学会会長・法華講総講頭辞任の時。3度目は、1989年のリクルート事件、砂利船汚職事件、17000万円金庫事件、創価学会幹部の日蓮正宗寺院住職誘拐事件、1990年代の日蓮正宗・創価学会の第2次紛争の時である。しかし、表1を見ていただければわかることだが、言論問題、第1次宗創紛争の時の落ち込み」は、1回のみで、次の参議院選挙では得票数が持ち直している。第2次宗創紛争の時は、2度、600万票台に転落。その後は新進党を経て、10年後の1998年、公明党再結成の参議院選挙で774万票に持ち直した。

つまり今までは、公明党が得票数を落としても、どんなに長くかかっても10年で回復させてきているのである。

ところが21世紀に入ってから、最高得票だった2005年の衆議院選挙の898万票以来、約15年にわたって、公明党の得票数が長期低落傾向にある。これは公明党・創価学会の歴史の中では前例がない。創価学会員が減少していることは、創価学会幹部も認めており、創価学会員が長期減少傾向にあることは、ほぼ間違いない事実と言える。この創価学会員の長期減少が何を意味するのか。今後の創価学会の動勢を見極めていく上で、見逃せない減少と言えよう。

 

2019参議院選挙・東京選挙区
 

(東京選挙区得票数・読売新聞より)