□破壊活動防止法、団体規制法による法規制だけではカルト宗教問題を根絶できない

 

カルト宗教による殺人事件、誘拐、拉致等の凶悪犯罪、テロ事件が起きると、「犯罪対策を強化せよ」「刑罰をもっと厳罰化しろ」等々の声は上がる。しかし、今日に至るも、カルト宗教を根絶することは、全くできていない。

1990年代、オウム真理教による松本サリン事件、地下鉄サリン事件等々のテロ事件により、多数の死者、負傷者が出た。しかしここで出てきたのは、根本的なカルト宗教対策ではなく、宗教法人法のほんのごく一部の手直し、刑法の刑事罰の厳罰化であり、かなり遅れてオウム特別立法、団体規制法が制定されただけであった。オウム真理教事件の時、麻原彰晃をはじめとする最高幹部は軒並み逮捕され、宗教法人は破産、解散。さらにその後の刑事裁判でも、麻原彰晃をはじめとする最高幹部は、死刑判決、無期懲役判決が確定。それでも、オウム真理教という宗教団体は、「任意団体」として活動を継続。「これでオウム真理教は滅亡する」という予測は、見事に外れた。

そこで、世間・マスコミでは「オウム真理教に破壊活動防止法を団体適用せよ」との議論が沸騰し、大々的なキャンペーンが行われた。しかし破壊活動防止法の団体適用は見送られた。

見送りの理由は、「オウム真理教は教祖、最高幹部はもはや逮捕され、信者もチリじりバラバラになったのだから、将来にわたって破壊活動を行う危険性はない」というものだった。

しかしオウム真理教は、麻原彰晃をはじめとする最高幹部が逮捕された後も、麻原彰晃を教祖と仰ぎ、教団として凶悪犯罪を行ったことを認めようとせず、賠償金の支払いも延々と進んでいない。さらにオウム真理教の後継団体の拠点、信者と地域住民とのトラブルが続発し、再び社会問題化した。そこで出てきたのが、オウム特別立法・団体規制法である。

この法律は、正式には「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」という。この法律は、団体の活動として役職員、構成員が無差別大量殺人行為を行った場合に、その団体の活動状況を明らかにし、当該行為の再発を防止するために必要な規制措置を定め、もって国民の生活の安穏を含む公共の安全の確保に寄与するというもの。

これは、19971月、公安審査委員会によってオウム真理教に対する破壊活動防止法の団体適用の請求が棄却され、当時の現行法では、オウム真理教の後継団体に対して法規制ができない状態になった。そのため、破壊活動防止法に代わってオウム真理教の後継団体に対する法規制を可能にする治安立法として制定されたのが、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(オウム特別立法・団体規制法)である。

しかし破壊活動防止法にしても、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(オウム特別立法・団体規制法)にしても、犯罪団体対策、テロ団体対策ではあっても、根源問題であるカルト宗教対策ではない。これは、オウム真理教事件のみならず、他のカルト宗教の事件、パナウエーブ事件等で沸き上がった犯罪対策強化、刑事罰の厳罰化にしても同じ。犯罪対策そのものは強化されたとしても、カルト宗教問題は、これによって根絶できない。

もうひとつ、問題だと思うのは、大量殺人事件を行う団体=カルト宗教ではないということである。カルト宗教には、さまざまなタイプがあり、殺人や拉致を行うものもあれば、集団自殺を行うものもあり、強引・執拗な勧誘・布教をするものもあれば、教団が完全支配する政党を造って政界進出を企てるものもある。あるいは、所属信者が殺人、強盗、誘拐事件を起こしているのに、「あれは一部のはね上がり信者がやった」「勤行も活動もしていない名前だけの信者が起こした。教団は無関係だ」と言って責任逃れをするカルト宗教もある。犯罪対策だけ強化しても、殺人、強盗、拉致等の実行犯は刑事責任を問えるだろうが、全ての責任を信者個人に押しつけるカルト宗教の責任を問うことはできない。

 

団体規制法
 

(団体規制法)

 

 

 

□カルト宗教取締立法を制定してカルト宗教問題を日本・世界から根絶させるべきである

 

強引な勧誘・布教・折伏を日本全国各地で繰り返し、強要罪等で信者が逮捕され、顕正会本部が捜査当局の家宅捜査を受けた事件が、発生しているが、今日に至るまで、顕正会会長・浅井昭衛をはじめとする顕正会最高幹部の責任は、何ら問われておらず、顕正会としての教団の責任も問われていない。

顕正会の強引な折伏・布教を行う過激体質は、少なくともまだ顕正会が日蓮正宗の信徒団体だった1960年代のころからのもので、50年以上たった今日でも、強引な折伏そのものは変わっていない。強引な折伏をする信者が一人逮捕されても、次から次へと強引な折伏をする信者が出てくる。顕正会の体質は変わっておらず、顕正会の被害に遭う人が後を絶たないのである。

創価学会員の中に、殺人、強盗、誘拐等の犯罪を犯し、中には死刑判決を受け、すでに死刑が執行された事例がある。これらは、犯罪の実行犯は刑事責任を問われたが、これらの信者を教化育成してきた創価学会そのものは、何の責任も問われておらず、何のお咎めもない。

それどころか、1999年に放映されたテレビ朝日「朝まで生テレビ」の「徹底討論・公明党」に出演した公明党国会議員が、創価学会員の犯罪・事件があった時は、警察にお願いに行っていることを、公然と認めている。そしてそれが「当然の行為だ」と言っているのである。

創価学会員の事件、犯罪の根底には、創価学会の教義、指導性、体質、活動実態等が大きく関連していることが明らかである。したがって、創価学会員を日々、教化育成している創価学会の責任、使用者責任が問われて当然なのだが、現行の法制度や、公明党国会議員が警察にお願いに行っているような現状では、カルト宗教を根絶することは、むずかしい。

現行の法制度では、カルト信者の刑事犯罪があったからといって、教団の教化育成責任、使用者責任が問われることはないし、強引な布教活動をするカルト宗教を取り締まることもできないし、政界進出をするカルト宗教を取り締まることもできない。カルト宗教が新たな寺院・会館、墓園を建設しようとしてたところ、地元住民が反対運動を起こしても、カルト宗教が土地を購入して寺院、会館、墓園を建設すること自体を阻止できない。

又、宗教団体がさまざまな事件を起こして裁判になり、宗教法人の代表役員、責任役員の責任が判決で認定されても、その教団は何のお咎めもなく、宗教法人としての特権を享受しつづけているのである。したがって現行の法制度だけでカルト宗教を根絶できないのは明らかであるばかりか、現行法の犯罪対策・武器規制・刑罰の厳罰化だけでは不充分である。よって、新たなカルト宗教取締立法が必要なのである。

 

創価学会墓苑反対運動1
 

(創価学会墓園反対運動・小冊子「創価学会」より)

 

秋山17-2ok
 

(日蓮正宗寺院建設反対運動)