「産湯相承事」は大石寺版平成新編御書全集、旧大石寺版・創価学会版御書全集に載っているが偽書である。大石寺59世堀日亨は、日付・日蓮在御判を後人の偽托と言って、実質的に偽書であると認めている。大石寺4世日道「三師御伝土代」と「産湯相承事」の記述が合致していない。撰時抄の「夢を本とすべからず」とする日蓮説法と「産湯相承事」の霊夢の記述が全く矛盾している。日蓮は自ら出家名を「是聖房」と書いており「是生」と書いている産湯相承事は偽書。十羅刹女、釈迦如来、天照大神、日蓮が一体であるという経説は、日蓮の教説にはない。日文字の口伝は他門流にもあり、他門流の僧侶も日文字を名乗っており、日興門流だけの秘伝ではない。日蓮が出生してすぐに寿量品自我偈を唱えるなどというのは、物理的に有り得ない。産湯相承事の引用文の初出は、大石寺9世日有の代の大石寺僧侶・左京阿闍梨日教の著書「百五十箇条」であり、全文の引用の初出は、「類聚翰集私」である。日蓮在世から大石寺9世日有の代まで、「産湯相承事」なる文書は、地球上に存在していなかったのである。