カルト宗教問題が沸騰してくると、必ずといっていいほど、カルト宗教とは関係ない宗教全体を敵対視する人が出てくる。個人個人の感情の問題ではなく、カルト宗教にどう対処していくのか、どう解決していくのかという社会全体の問題、政治的問題、国際社会全体の問題、カルト問題に対する路線問題として考えると、仏教宗学研究会としては、日蓮否定、仏教否定、宗教否定の路線はとていないし、そういう路線はとるべきではない。仏教宗学研究会では、日蓮正宗、創価学会、顕正会等「日蓮正宗系」カルト教団を批判しているが、これは日蓮否定ではないし、日蓮宗全体の批判でもない。又、カルト宗教批判は、仏教全体、宗教全体への批判に広げるべきではない。仏教否定・宗教否定路線は、何ら生産的なものを産まず、かえってカルト宗教問題の解決を複雑化し、むずかしくしてしまう。そしてカルト宗教を利するだけの結果を招く愚かな路線である。

宗教全体を否定する路線・政策が、何ら生産的結果を生まないことは、過去の歴史が証明している。資本論・共産党宣言のカール・マルクスの「宗教はアヘンである」発言によって、20世紀に成立したソ連、中国、アルバニア、北朝鮮、カンボジアなどの社会主義国家、共産党政府のみならず、特にスターリン時代のソ連、毛沢東・文化大革命時代の中国、ポルポト時代のカンボジアでは、国家の政策として極端な宗教否定、仏教否定、キリスト教否定の政策がとられた。その結果、仏教遺跡、キリスト教遺跡、仏教寺院、キリスト教教会が破壊され、仏教僧侶、キリスト教宗教者が投獄、粛清、殺害された。かつての日本でも、明治維新のころ、政府の神仏分離令が発端になり、日本全国に廃仏毀釈が荒れ狂い、多くの仏教寺院、仏教遺跡が破壊された。そして宗教否定の政策をとった政府が、逆に平和への脅威になていった。こんな愚かしい歴史を繰り返すべきではない。世界各国には、たくさんの優秀な宗教者がいる。カルト宗教対策は、こういった優秀な宗教者、優秀な宗教者を支持する人たちの協力なくして、あり得ない。