当会動画チャンネルの157160161174175180の動画で「日蓮は身延山中で極貧・極寒・飢餓地獄の生活をしており、「戒壇の大本尊」造立の経済力はなかった」という検証をしてきているが、今回は、「戒壇の大本尊」の漆加工に、いくらの費用がかかるのか、という検証である。いろいろな書籍を調べても、中世の時代、漆加工にどれくらいの費用がかかったのか、という資料が見つからなかったため、2012610日、石川県輪島漆芸美術館を訪ね、館長・四柳嘉章氏から話しを伺った。四柳嘉章氏の著書「漆の文化史」を紹介され、その中に中世の時代の漆・漆加工の値段の記述があった。漆1升=米10石が相場であったという。二番目に漆の産地の問題。四柳嘉章氏によれば「中世、鎌倉時代には日本全国、かなり広範囲で漆の生産が行われていた」という。しかし仮に身延山中で漆の生産が行われていたとしても、日蓮一門に漆加工は不可能である。それはなぜかというと、漆加工のときに「漆かぶれ」になるからである。よって素人に漆加工を行うことは不可能。日蓮一門に漆職人、漆加工が出来る信者はいない。四柳嘉章氏によれば、「漆加工は外注に出して行ったと見るのが現実的だ」という。昭和の中頃まで、家具に漆を塗るときは、漆職人を呼んで漆塗りをさせていた。なぜなら、自分たちで漆塗りをすると「漆かぶれ」になるからである。すると1279(弘安2)年に、日蓮が漆加工をするためには、漆を他から買い求めて、漆職人を雇わなくてはならない。身延山中で極貧・極寒・飢餓地獄の生活をしていた日蓮に、漆加工は不可能である。