本当は大石寺9世日有が偽作した「戒壇の大本尊」を「日蓮真筆だ」と詐称して金集めをする日蓮正宗を詐欺罪で追及せよ、という声が上がっている。

戒壇本尊1


そこで、まずは日蓮正宗の金集めに詐欺の疑いがあるかどうかを検証する前に、刑法の「詐欺罪」というものについて、これがどういうものであるのか、少しだけ深く検証していかねばならないだろう。出典は、インターネット・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』である。

 

詐欺罪(さぎざい)とは、人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得る(例えば無賃宿泊をする、無賃乗車するなど、本来有償で受ける待遇やサービスを不法に受けること)こと、または他人にこれを得させることにより成立する犯罪のこと。日本では刑法に規定されている(2461項、2項)。未遂も罰せられる(250条)。

犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される。組織的に行った場合は組織的犯罪処罰法により1年以上の有期懲役と罪が重くなる。

詐欺罪は以下の4つの段階を経過した時点で既遂となる特殊な犯罪で、単に「騙した」だけでは成立せず、社会一般でいう詐欺の概念とはやや乖離しているのが特徴。

 

1一般社会通念上,相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為をすること(欺罔行為又は詐欺行為)

2相手方が錯誤に陥ること(錯誤)

3錯誤した相手方が、その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること(処分行為)

4財物の占有又は財産上の利益が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転、利益の移転)

 

さらに上記14の間に因果関係が認められ、また行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思が認められる必要がある。

 

上記の要件が必要とされる結果、たとえば、 

 

○嘘を言って店員の目を逸らせ、その隙にショーケースから商品をかすめ取った場合

 →詐欺罪は不成立(騙す行為が相手方の財産上の処分行為に向けられたものでない。但し窃盗罪)。

 

○欺く行為があり、その後相手方から財物が交付されても、相手方が欺罔を看破しておりトラブル回避や憐憫の情から行為者の要求を飲んだにすぎない場合

 →詐欺罪は未遂に止まる(欺罔行為と処分行為の間に因果関係が認められない)

 

他の領得罪との対比では、

 

不法領得の意思をもって他人の占有する財物を取得する点で、窃盗罪や強盗罪と共通する(広義の奪取罪又は移転罪)が、占有の移転が相手方の意思に基づく点で異なる。

占有移転が相手方の瑕疵ある意思に基づく点で、恐喝罪と共通するが、その意思が畏怖でなく錯誤によるものである点で異なる

などの特徴がある。

 

社会的実態としての詐欺行為を上述の構成要件の枠内に可及的に取り込むため、それぞれの構成要件の解釈については、緻密かつ柔軟な解釈論が展開されている。加害者と被害者のみならず第三者が介在する三角詐欺のようなケースも包括されることが解釈論をさらに複雑なものにしている。学問上も実務上も刑法の重要分野の一つであるといえる。

 

行為としては一般的な「無銭飲食」であるが、当初の意思や経過によって下記のように派生する。

 

 最初から無銭飲食する意思を持って店に入り、飲食し、「財布を忘れてしまった、取ってくる」等と弁解し、店員がこれを承諾したので店を離れる

→詐欺罪成立(無銭飲食の意思を持ち、店員に注文(欺罔行為)をしかけ、店員が錯誤し、飲食物を提供している)

 最初は正規に飲食するつもりで店に入り、飲食していたが、食後に財布を忘れたことに気付き、食い逃げを思い立って「財布を取ってくる」と店員に嘘をいい、そのまま逃げてしまう

→詐欺罪成立(食後に無銭飲食をする意思を発生させ、店員に「財布を取ってくる」欺罔をしかけ、店員が錯誤して承諾し、店を離れ、よってただで飲食を行うという財産上不法の利益を得た)

 最初は正規に飲食するつもりで店に入り、飲食していたが、食後に財布を忘れたことに気付き、食い逃げを思い立って、店員の隙をついて店を出て逃走した

→詐欺不成立(食後に無銭飲食をする意思を発生させているが、店に欺罔行為を行っていないため詐欺罪が成立しない。窃盗罪にも該当しないため、刑法で問うことは出来ない。但し民法上の責務を負う)

 

(以上、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)